BANAKANA COFFEEを運営している私は、「ペルソナ設定が大事」という言葉を、もう何回聞いたかわからない。
マーケティングの本を読めば必ず書いてある。SNSで調べても、ネットで調べても、どこを見ても書いてある。
大事なのはわかってる、わかってるんだけど、私は正直、最初は全然ピンときていなかった(マーケティングの本を読んだ割に)。
なんとなく「いつか決めなきゃなー」とは思っていた。でもどうにも腹落ちしなくて、ずっと後回しにしていた。
それが最近になって、ある瞬間に全部がつながった。「あー、ペルソナってそういうことか」と、思わず声に出してしまった。本当にそんな感覚だった。
本記事の目次
ずっと「なんとなく」でやってきた

始まりは「自分の好み」だった
BANAKANA COFFEEを始めたとき、正直なところ、誰が買ってくれるのかなんて全くわからなかった。
スペシャルティコーヒーの自家焙煎、オンライン販売、副業でのスタート。最初から「この人に売る」と絞ること自体がなんとなく難しくて、まずは広く、という感覚でいた。
だから最初は「とりあえず私が好きなものを作る」という方法を取った。私がいいと思うデザインで、私が飲んでおいしいと思うコーヒーを、私の判断で揃えていく。それが一番ブレないし、テンションも上がるし、小さく始めるなら現実的な選択だと思っていた。
気づけば「自分」がペルソナになっていた
結果として、なんとなく「30代中盤の男性、仕事しながらコーヒーを楽しんでいる人」、つまりほぼ私自身がペルソナみたいな状態になっていた。
ヴィンテージ感があって、スタイリッシュで、シンプルにかっこいい。そういうデザインが好きだったし、ECサイトもパッケージも、ずっとその方向で作ってきた。
「ペルソナはいつか決めなきゃなー」とは思っていた。でも売ってみないと誰が買ってくれるかわからないし、最初は自分の好みで進めていいかな、と思っていた。
「これ、女性はパケ買いする?」と気づいた瞬間

きっかけは「期間限定パッケージ」の検討
きっかけは、ちょっとした企画のアイデアだった。
いつも使っているデザインとは別の、特別感のある期間限定パッケージを作って販売しようかな、と考えていたタイミングだった。
そのために、いろいろなデザインを調べていた。コーヒー以外のパッケージも含めて、インスタグラムやいろんなサイトで、おしゃれなパッケージを眺めていた。そのときに「パケ買い」という言葉が、ふと頭に浮かんだ。パッケージが可愛いから買う、というやつだ。
「自分自身がしない」と気づいた瞬間
そこで一度冷静になって、私のパッケージを見てみた。
「これ、女性の方ってパケ買いするか?」
……しないな、と思った。正直に言うと、私自身も「これはパケ買いしないな」と思った(私はめちゃくちゃ気に入ってるんだけどね)。
その瞬間に、全部がつながった気がした。
女性目線が完全に抜けていた。パケ買いという観点がそもそも出てこなかったのは、ペルソナを私(30代男性)に置いていたから。私は男性だから、パケ買いという発想自体がそもそも薄い。
「あー、ペルソナを設定するってこういうことか」と、ここで初めて本当の意味で理解できた気がした。
データを見て気づいた、本当の購入者像

フォロワーは男性が55%
気づきがあってから、改めてデータを見直してみた。
インスタグラムのフォロワーは、男性が55%・女性が45%。年齢層は男女ともに35歳前後が一番多い。これだけ見ると、「私と同年代の男性に多く見てもらっているのかな」という印象だった。
でも購入者は女性が8〜9割
ただ、購入履歴を確認してみたら、全然違う景色が見えてきた。
実際に購入してくださっている方は、女性が約8〜9割だった。
フォロワーの男女比と、購入者の男女比がまったく噛み合っていない。これは正直、かなりびっくりした。
フォロワーと購入者は一致しない
フォロワーは男性の方が多いのに、実際に購入してくださっているのは女性の方が圧倒的に多い。
「客層が違った」と書くと失礼になってしまうから正確に書くと、思っていたよりも女性の方が買ってくださっていた、というのが正直な感想だ。
このデータと、さっきのパケ買いの気づきが重なって、「これはちゃんとペルソナを考えないとまずいな」と本気で思うようになった。
ペルソナは「自分のための道しるべ」だった

迷ったときの判断軸になる
ペルソナと聞くと、「誰かのために決めるもの」というイメージがあった。ターゲットを決めて、その人に向けて設計する、という話だと思っていた。
でも実際に意識し始めると、ペルソナで一番助かるのは「私が迷ったとき」だった。
デザイン案AとB、どちらがいいか。写真の雰囲気はどっちにするか。そういう場面で、判断の軸になるのがペルソナだった。
「30代女性の方の観点で見たら、どちらが好まれそうか」という問いが一つ立つだけで、迷い方がまるで変わってきた。
「ペルソナならどう思う?」が新しい軸になる
自分の好みも大切にしたい、でもペルソナに刺さるかどうかも気にしたい。その両方を同時に考えることで、判断の精度が上がってきた気がしている。
もちろん、私が絶対に嫌なものは選ばない。テンションが上がらないものを作っても続かないし、私が好きじゃないものを「これいいですよ」と言って売ることもしたくない。
ただ、そこに「ペルソナならどう思うか」という視点が一つ加わるだけで、私の好みが独りよがりになっていないかを確認できるようになった。これは、想像以上に大きかった。
最初は自分をペルソナにしてもいい

動かしながら少しずつ更新していく
「最初からペルソナを決めるべき」という話をよく聞く。でも私個人としては、最初から完璧なペルソナを設定しようとするのは、かなり難しいと思っている。
何より、売ってみないと、誰が買ってくれるか本当にわからない。
だから最初は自分をペルソナにして動き出す、というのもありだと思っている。私が好きなもの、私がいいと思うもので始めて、実際に動かしていく中でデータを見て、お客さんの反応を見て、少しずつペルソナの輪郭を明確にしていく。
プロのマーケターから見たら遠回りかもしれない。ただ、最初から「自分じゃない誰か」の視点で全てを設計しようとするのは、副業のスモールスタートには相当しんどい話だと思う(少なくとも私には無理だった)。
完璧より、腹落ちが大事
ペルソナは、自分自身が腹落ちして決めることが一番大事だと思っている。
他の人から「こういう人がターゲットだよ」と言われても、私の中でしっくりこないと、判断基準として機能しない。方向性とか道しるべって、自分が信じて使えるものじゃないと、意味がないからだ。
多少粗くても仮でも、「私はこう思う」という感覚で決めることの方が、細かく作り込んだのに自分でしっくりきていないペルソナより、ずっと役に立つ。
仮でも決めると、向かう先が見えてくる

BANAKANA COFFEE の仮ペルソナ
今の段階で、BANAKANA COFFEEの仮ペルソナを言葉にしてみると、こんなイメージだ。
年齢:30代半ば
暮らし:仕事をしていて、生活に少し余裕がある
コーヒーとの関係:がっつりこだわっているわけではないけど、おいしいコーヒーを気軽に飲みたい。ちょっとほっとしたいとき、少し気分を上げたいときに飲みたい一杯。
これが、今のBANAKANA COFFEEのペルソナだと思っている。まだ「仮」だけど、これがあるのとないのとでは、判断の精度がまるで違う。
目指す方向は「親しみやすさ × 上質」
このペルソナを言語化できたことで、ブランドとして目指す方向性もはっきりしてきた。
「親しみやすさ × 上質」。
気軽に手に取れて、でも飲んだらしっかり本格的においしい。パッケージを見て「ちょっと欲しいな」と思ってもらえて、贈り物にも使ってもらえる。そんなブランドになっていきたいと思っている。
ただ、今までのヴィンテージ・スタイリッシュ・かっこいい、という方向性を全部捨てるわけじゃない。そこに「親しみやすさ」と少しの「カラフルさ」を足して、女性の方にも選んでもらえる理由を作っていく。私のテンションが上がらないものは作らない、これは変わらない軸として持ちながら(ここは譲れない)。
まとめ:ペルソナは縛るものじゃない

ペルソナ設定って、最初は「自分以外の誰かのために何かを決めるもの」だと思っていた。
でも実際に気づいてみると、一番役に立つのは私自身だった。迷ったときの判断基準になって、方向性がブレなくなって、「なんとなく」が一個ずつなくなっていく。
誰かを縛るものじゃなく、自分が自由に動くための道しるべ。今はそんなふうに思っている。
最初から完璧に決めなくていい。自分をペルソナにして始めて、やってみて見えてきたものを元に、少しずつ更新していけばいい。それで十分だと思う。
「ペルソナ大事ってわかってるけど、なんとなくピンとこない」という人は、一度だけ「私ならこれを選ぶか?」という問いを立ててみてほしい。その瞬間に、何かがつながるかもしれない。
BANAKANA COFFEEも、この仮ペルソナを軸に、これからパッケージやサイトの見せ方を少しずつ整えていく予定だ。気が向いたら、今のラインナップも覗いてみてもらえると嬉しい。
